日本酒の地理的表示(GI)一覧(2024年6月時点)

日本酒

2024年度のSAKE DIPLOMA試験の受験開始日まで1ヶ月を切りました。今から本格的に勉強を開始する受験者も多いと思います。まだまだ余裕がありますので、じっくりテキストに向き合って知識を蓄えてください。

さて、今回はこの試験でも頻出の地理的表示(GI)をご紹介します。ここ数年の間に国内のGIはとても増えました。なんと、令和に入ってから12のGIが指定されています。

 日本酒の地理的表示(GI)一覧

このリストは2024年6月26日時点の国税庁のウェブサイトを元に作成しています。

白山
  • 石川県白山市
  • 2005年12月22日
日本酒
  • 日本国
  • 2015年12月25日
山形
  • 山形県
  • 2016年12月16日
灘五郷
  • 兵庫県神戸市灘区、東灘区、芦屋市、西宮市
  • 2018年6月28日
はりま
  • 兵庫県姫路市、相生市、加古川市、赤穂市、西脇市、三木市、高砂市、小野市、加西市、宍粟市、加東市、たつの市、明石市、多可町、稲美町、播磨町、市川町、福崎町、神河町、太子町、上郡町及び佐用町
  • 2020年3月16日
三重
  • 三重県
  • 2020年6月19日
利根沼田
  • 群馬県沼田市、利根郡片品村、川場村、昭和村、みなかみ町
  • 2021年1月22日
  • 山口県萩市及び阿武郡阿武町
  • 2021年3月30日
山梨
  • 山梨県
  • 2021年4月28日
佐賀
  • 佐賀県
  • 2021年6月14日
長野
  • 長野県
  • 2021年6月30日
新潟
  • 新潟県
  • 2022年2月7日
滋賀
  • 滋賀県
  • 2022年4月13日
信濃大町
  • 長野県大町市
  • 2023年6月30日
岩手
  • 岩手県
  • 2023年6月30日
静岡
  • 静岡県
  • 2023年11月30日
各GIの酒米の条件

以前、大阪で開催された地理的表示に関するセミナーに参加した際、既存のGIの条件があまりに緩かったので、参加者から「この条件のGIに意味があるのか?」という質問が出ました。この緩い条件というのが原料米に関するもので、例えばGI白山であれば国内産米を使えばOK、つまり白山市内だけでなく石川県内の米を使わなくてもOKという緩い条件でした。

これはワインで例えれば、ボルドーで栽培したブドウを使ってブルゴーニュワインを造るようなもの。ワインではありえない条件です。日本酒のGIで米の使用条件を緩くしているのは、厳しくすると対応できる酒蔵が少なくなってしまうから。でも、厳しくするからこそGIの意味があると思うんです。

ということで、ここでは各GIの原料米の使用条件だけをピックアップしてみます。

白山 米及び米こうじに国内産米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により醸造用玄米の1等以上に格付けされたものであって、精米歩合70%以下のものに限る。)のみを用いたものであること。
日本酒 米及び米こうじに国内産米のみを用いたものであること。
山形 米及び米こうじに国内産米のみを用いたものであること。
灘五郷 米及び米こうじに国内産米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされたものに限る。)のみを用いたものであること。
はりま 米及び米こうじに兵庫県で収穫した山田錦(主要農作物種子生産条例(兵庫県条例第31号)に基づく審査済みである種子から栽培して収穫したもの)のみを用いたものであること。
三重 米及び米こうじに国内産米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等級以上に格付けされたものに限る。)のみを用いたものであること。
利根沼田 米及び米こうじには、産地の範囲内において収穫された次の商標又は品種の米のみを用いること(雪ほたか、五百万石、コシヒカリ
米及び米こうじに、産地の範囲内で収穫した米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされたもの)のみを用いたものであること。
山梨 米及び米こうじに国内産米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされたもの又はこれに相当するものに限る。)のみを用いたものであること。
佐賀 米及び米こうじに国内産米のみを用いたものであること。ただし、「The SAGA 認定酒」を表示する場合は、米及び米こうじに産地の範囲内で収穫した米のみを用いたものでなければならない。
長野 米及び米こうじに、長野県内で収穫した玄米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされたものに限る。)の精米(長野県内で玄米のぬか層の全部又は一部を取り除いたものに限る。)のみを用いたものであること。
新潟 米及び米こうじに国内産米のみを用いたものであること。
滋賀 米及び米こうじに、滋賀県内で収穫した米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされたもの)のみを用いたものであること。
信濃大町 米及び米こうじに、長野県大町市及び隣接する長野県北安曇郡松川村のうち、業務実施要領で特定した水田で収穫された玄米(注1)の精米(注2)のみを用いていること。
岩手 米及び米こうじは国内産米のみを用いたものであること。ただし、「オールいわて清酒」を表示する場合は、米及び米こうじが岩手県内で収穫した米、麹菌及び酵母は岩手県内で育種された菌株で、別途、業務実施要領に定めるものを用いたものであること。
静岡 米及び米こうじに国内産米(農産物検査法(昭和26年法律第144号)により3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したもの)のみを用いていること。

意外と「国内産米」という緩い条件のGIが多いと思いませんか?もし、日本酒を購入するときに地域特性を意識して選ぶのであれば、「国内産米」としているGIの日本酒ではなく、「産地の範囲内で収穫した米」としているGIの日本酒を選ぶほうがよいでしょう。

最新のGI静岡でさえ、国内産米の使用でOKとなっています。北海道の酒米を使ってもGI静岡が取得できるんです。おかしな話です。ちょっと酒蔵に気を使いすぎているような気がします。この緩い条件のGIが果たして海外で認められうのか甚だ疑問ですが、このGIをきっかけに地方の酒蔵が活気づけば幸いです。

 国税庁「酒類の地理的表示一覧」

Yasuyuki Ito

Yasuyuki Ito

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。30代はワインにハマり、40代は日本酒にハマる。さて、50代は何にハマろうか。

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