日本ソムリエ協会に入会するメリットとデメリット

SAKE DIPLOMA

2020年度SAKE DIPLOMA試験の申し込みが開始され、NANAME KIKAKUで販売開始した対策問題集550の購入者も増えてきました。今年度も多く受験者の役に立ちたいと思い、教材を開発していますので、興味のある方はご購入いただけると嬉しいです。

さて、試験に申し込む際に日本ソムリエ協会の入会案内があったと思います。試験申し込みと同時に入会すると入会金10,000円が半額になり、受験料も会員価格になります。僕は2018年度に試験を申し込む際に同時入会したため、現在も正会員として入会中です。

今回は日本ソムリエ協会に入会するかどうか迷っている人に向けて、入会のメリットとデメリットをご案内します。日本ソムリエ協会の入会案内にはメリットの説明が少なく、実際に入会しないと分からないことが多いのです。

日本ソムリエ協会の入会メリット
① 他の呼称資格認定試験が会員価格で受験できる

SAKE DIPLOMA試験を受験する方は、仕事で資格を必要としている場合が多いのですが、中には仕事とは関係なく純粋に知識を増やしたいという場合もあります。つまり「本当の酒好き」が多いのです。このような方はSAKE DIPLOMA試験に合格すると、同じソムリエ協会が実施しているワインエキスパートなどワイン関連の資格取得にも挑戦する人が多いと聞きます。実際、僕も今年はワインエキスパートとSAKE DIPLOMA Internationalに挑戦します。

このような場合、入会しておくことで受験費用を抑えることができます。例えばワインエキスパートの場合、非会員が申し込むと29,600円かかりますが、会員の場合は20,380円で受験できます。約1万円の差があります。ちなみにSAKE DIPLOMA Internationalの受験費用は非会員が25,910円で会員が17,530円です。僕は2つ受験するため、計17,600円が割引されます。

② 機関誌「Sommelier」が購読できる

会員になると日本ソムリエ協会の機関誌が隔月(奇数月)に届きます。これはワインを中心に飲食に関する専門的な情報が満載されています。例えば、2020年1月号であれば日本料理の「焚き合わせ」に関して京都の有名料亭「木乃婦」の主人が説明していたり、新人ソムリエの教育方法だったり、日本酒のテイスティング方法に関する情報(これはSAKE DIPLOMAの二次試験でも役立ちます)が載っています。

また過去の機関誌を電子書籍で読むことができます。これは自身が入会する以前のものを読むことができるため、日本酒に関する情報だけをピックアップして集約する際に便利だと思います。残念なのは、購読形式にFlashを使うなど、利便性が低いこと。スマホ用のアプリもありますが、正直使い勝手が悪いです。パソコンで見るのがベターです。

③ 呼称認定資格の過去問題が閲覧できる

受験者であればこれが最も魅力的なのではないでしょうか。現在、2016年度から2018年度までの各資格の過去問が掲載されています。SAKE DIPLOMAに関しては2017年度の一次試験の過去問が全て閲覧できます。ただし、2018年度から試験内容を非公開にしているため閲覧できるのは2017年度分だけです。ワインエキスパートも2018年度から非公開です。シニアソムリエやシニアワインエキスパートに関しては2018年度分も掲載されています。

④ 各種イベントに会員価格で参加できる

日本ソムリエ協会は全国に支部があり、その支部が主体となって様々なイベントが開催されています。今年度は単式蒸留焼酎に力を入れているようで、会長である田崎真也氏が全国50支部にてセミナーを開催しています。その他、ワインのブラインドテイスティングやチーズに関するセミナーも開催されています。

このようなセミナーに参加する場合、一般者だと6,000円前後の参加費が必要になるのですが、会員であれば何回参加しても無料です。残念ながら今年はコロナウイルスの影響により、ほぼ全てのセミナーが開催中止です。

⑤ 協会主催のコンクールに参加できる

日本酒関連では昨年度、初めてSAKE DIPLOMAコンクールが開催されました。これはSAKE DIPLOMA認定資格者だけが対象となるSAKE DIPLOMA日本一を決めるイベントです。昨年度は資格保有者2,436名が対象で、そのうち213名がエントリーしました。コンクールは全国で予選(筆記試験とブラインドテイスティング)を勝ち抜いた人が、名古屋にて準決勝を行いました。準決勝も筆記試験(教本以外も対象)とブラインドテイスティングですが、予選と異なるのは試験官と対面しながら試験を受ける形式であることです。そして決勝には12名が残りました。ここでは壇上にあがり、複数の試験官を前にしてテイスティングや実技をこなしていきます。最終的には東京で鮨屋を営業している男性が優勝しました。このようにSAKE DIPLOMA保有者同士で競い合う場に参加できるのも良い経験だと思います。

また、最優秀ソムリエコンクールのガラディナーのように全国のワイン関連の著名人が集まる場に参加出来る機会があることもメリットでしょう。その他にも特典はあるのですが、入会の動機になるほどのことではありませんので省きます。受験者にとっては過去問閲覧がメリットで、認定者にとっては機関誌による知識向上がメリットではないでしょうか。

日本ソムリエ協会の入会デメリット

逆にデメリットはあるのでしょうか。正直申し上げて、ワインに関する仕事に就いている方であればデメリットはあまりないと言えるでしょう。むしろ情報が充実しすぎていて、全てを網羅することが難しいほどです。一方、日本酒に関してはまだ情報が少なく、機関誌においては1割も満たしていません。したがって、日本酒に関する知識だけ欲しいのであれば入会メリットは小さいと言えるでしょう。

ただし、今後の日本酒の行く末を考えた場合、テイスティング方法やペアリングなどあらゆる面でワイン基準の考え方が必要になってきます。日本酒はすでに日本人だけの酒ではなくグローバルで飲まれている酒だからです。そしてグローバルではワインが基準であり、ワイン基準で日本酒を語るほうがより多くの人に楽しんでもらえると思うからです。

僕自身、ワインの楽しみ方を日本酒に生かすことで、今までとは異なる日本酒の楽しみ方を知ることができました。また、そのようなことをすることでワイン関連の人間関係も広がりました。ただの日本酒好きからワンステップ上がるために、ソムリエ協会に入会してワインの知識を深めてみてはいかがでしょうか。

Yasuyuki Ito

Yasuyuki Ito

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。30代はワインにハマり、40代は日本酒にハマる。さて、50代は何にハマろうか。

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