2020年5月28日に上川大雪酒造(北海道上川町)が帯広畜産大学(帯広市)の構内で建設を進めていた碧雲蔵が完成しました。今年の6月から醸造を開始して、7月からは日本酒を発売する計画です。国内では大学と連携して醸した日本酒は数多くありますが、大学構内に酒蔵を置き醸すケースはレアです。どのような日本酒が出来上がるのか楽しみです。
今回、上川大雪酒造が大学内に酒蔵を建設した目的は「人材育成」です。十勝という地域において、地域企業や大学と連携することにより、発酵学と醸造学の教育研究を行い、次代の醸造家を育てることを計画しています。また酒蔵建設に伴い、上川大雪酒造の杜氏・川端慎治氏が同大学の客員教授にも就任しています。
今後は杜氏による酒造りに関する講義や酒蔵見学、インターンシップの受入を導入するとともに、現場での実践的な実習や研究も増やしていくようです。今までは東京農業大学・醸造学科出身者が業界内で目立っていましたが、今後は帯広畜産大学出身の醸造家が増えるかもしれません。
日本電産の永守会長が大学経営に乗り出したように、これからは実業界で活躍する人が大学教育に積極的に関わる時代に入っていくでしょう。今後、日本酒業界がどのように変化していくのか楽しみです。