【ソバーキュリアス】選択的飲酒という取り組み

ソバーキュリアス
 飲酒によって得たもの、失ったもの

私は今まで日常生活の一部としてお酒を飲み続けてきました。飲酒という行為は人とコミュニケーションを図るためのひとつの手段だと認識し、そのような場があれば積極的に参加してきました。大学でのサークル活動から始まり、社会人になってからは金曜日の飲み会のほか、忘年会や新年会など、飲酒する機会は日に日に増えていきました。

そして、49歳になった今、50歳を手前にしてふと考えました。今まで飲酒に費やしてきた時間とお金に対して、どれくらいのリターンがあったのだろうかと。飲酒がなければ人間関係は築けなかったのだろうか。飲酒がなければ仕事は成功しなかったのだろうか。飲酒がなければ精神的な負荷を軽くすることはできなかったのだろうか、と。

もちろん、飲酒を全否定することはできません。ワイン会や食事会など目的を持った場では、同じ趣味を持つ仲間を見つけることができました。また、自分が担当した取引先との飲み会によって相手の人間性や人柄を見ることができ、仕事に生かすこともできました。お酒によって抱え込んだストレスを誤魔化し、翌日からの仕事を続けることもできました。

一方で失ったものが大きいのも事実です。特に「信頼」「時間」「お金」「健康」です。時間やお金、健康は誰もが理解できると思いますが、一番大切なのは「信頼」です。私の場合、飲みすぎると気分が高まり、相手が誰であろうと本音を口にしてしまい、その場をしらけさせてしまうことが多いようです(最悪なことに本人は覚えていません)。

きっと、私のそんな姿を見て幻滅し、人間関係が希薄になった人が今まで何人もいたでしょう。人間関係の信頼は一度失ってしまうと取り戻すことが困難です。そして、薄くなった人間関係を補うために、また飲酒の場に出かけ、新たな人間関係を得ようとする。今までそんなことの繰り返しでした。

 新しい自分の居場所づくりを

50歳を手前にして、もうこんなサイクルは断ち切らないといけないと本気で感じています。時間とお金が出来たら「とりあえず飲みに行く」のではなく、飲酒以外のことに投資をしていくことが大切だと考えています。それが何なのかはまだ分かりません。何しろ30年近くも飲酒に浸ってきたのですから、簡単には見つかりません。

でも、きっと何か飲酒の代わりになることが見つかるでしょう。今まで飲酒に費やしてきたお金を旅行代に回せば、2ヶ月に一度くらいは海外旅行に行けるでしょう。まだ、訪れたことがない国はたくさんあります。飲酒を控えれば健康になり、新しいスポーツに挑戦できるかもしれません。年に1回のフルマラソンを2回にしたり、トライアスロンに挑戦したり。

飲酒の場以外の自分の居場所を探す。これが50歳になる自分の人生のミッションです。お酒でしか繋がっていない希薄な人間関係ではなく、数は少なくても濃密な人間関係を築きたい。お酒が無くても一人で没頭できることを探したい。そう思っています。

 選択的飲酒という取り組み

今、若者を中心に「ソバーキュリアス」という言葉が取り上げられています。これはSober(しらふ)とCurious(好奇心が強い)を組み合わせた造語で、お酒を飲める人が敢えて「お酒を飲まない」もしくは「少量しか飲まない」というライフスタイルや飲み方のこと。

この言葉の捉え方は人それぞれです。一般的にはお酒を全く飲まない「断酒」と捉える人が多いのですが、私は断酒ではなく「選択的飲酒」と捉えています。つまり、何か明確な目的や目標がある場合の飲酒だけを選び、それ以外の「とりあえずの飲酒」は捨てるという考え方です。

明確な目的とは、例えば酒類に関係する仕事をする場合。私の場合であれば、日本酒講師の仕事をするために、定期的な試飲が欠かせません。日本酒セミナーや勉強会など学ぶことを目的とした飲酒は不可欠だからです。また、酒類関係者(例えば酒蔵の杜氏など)との人間関係を築くために、一緒に飲酒するケースもあります。これらは選択的飲酒だと捉えています。

今まで飲み続けてきた人が、いきなり全てをゼロにすることは難しく、それによって別の精神的負担が増えることが考えられます。だから、ゼロではなく、飲む場を選ぶことがソバーキュリアスを実現するための近道だと考えます。

本ブログでは50歳を目前に控えた私の選択的飲酒生活を書き留めてまいります。50歳のオッサンのブログなんて誰が読みたいのかは分かりませんが、飲酒に対する考えを改めるきっかけになれば幸いです。

Yasuyuki Ito

Yasuyuki Ito

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。30代はワインにハマり、40代は日本酒にハマる。さて、50代は何にハマろうか。

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