このページでは2024年度SAKE DIPLOMA二次試験(テイスティング&論述)に向けた対策に関する情報を掲載します。2023年度に一次試験のみ合格した方はすでにどのような試験内容なのか認識されていると思いますので、ここでは初めて二次試験を受ける方を対象にします。情報は随時足していきますので、定期的にご覧いただけると幸いです。
それではまず最初に2023年度二次試験にどのようなお酒が提供されたのか確認しましょう。
目次
2023年度試験に出題された日本酒と焼酎
日本酒
特定名称 | 原料米 | |
1 | 特別純米酒 | 雄町 |
2 | 大吟醸酒 | 五百万石 他 |
3 | 特別純米酒 | 雄町 |
4 | 純米酒 | 山田錦 |
焼酎
種類 | 蒸留方法 | |
1 | 米焼酎 | 減圧蒸留(25度) |
2 | 芋焼酎 | 常圧蒸留(20度) |
2023年度の二次試験では日本酒4種類、焼酎2種類の計6種類が提供されました。ここ最近はこのパターンが多いので、2024年度以降も出題数は変わらないでしょう。日本酒に関しては特別純米酒の出題が増えています。純米酒との違いを問われることはありませんが、トレーニングする際は特別純米酒を選んだほうがよいかもしれません。
酒米に関しては山田錦、五百万石、雄町という特徴を掴みやすい品種ばかりですので、難易度は低かったと思われます。2024年度に関してもこのような基本品種の特徴はしっかり把握しておきましょう。
焼酎に関してもオーソドックスな出題でした。米焼酎は泡盛と間違える人が結構いますので、それぞれの特徴を把握しておくほうが良いと思います。
ちなみに項目別の点数配分について、ソムリエ協会が公表しています。香りと味わいだけで55%を占めます。
二次試験当日のスケジュール
2023年度の二次試験当日(10月16日)のスケジュールは次のように進められました。
14:00 | 開場 |
---|---|
14:10-14:20 | オリエンテーション |
14:20-14:50 | テイスティング(30分) |
14:55〜15:00 | オリエンテーション |
15:00〜15:20 | 論述試験(20分) |
15:30 | 解散 |
開場時間より早く到着しても会場には入れないため、開場時間より少し前に到着すれば大丈夫です。指定された席に着いたら、テーブルの上に並んでいるテイスティング用の日本酒の外観を見ておきましょう。熟成した山廃などは黄色がかっているので外観だけで種類が予想できます。
試験の順番はテイスティングの後に論述試験が行われます。テイスティングで飲み過ぎ酔が回ると、論述試験に影響を与えますので、飲む量はほどほどに。少し酔ったくらいの方が調子が上る、という方は自分の塩梅でどうぞ。
2023年度の論述テーマ
2023年度の論述テーマは次の3つです。
- GI播磨について200字以内で説明しなさい
- 近年の清酒において、特定名称を名乗らないことのメリットとデメリットを200字以内で説明しなさい
- テイスティング試験で供出された2番目の日本酒に合わせて、お勧めする飲み方、その理由を200字以内で説明しなさい
論述試験は2023年は3問出題されました。今年はテキスト改訂でGIの掲載情報が増えたため、GIが出題される確率は高いと思っていましたが、その通りになりました。日本酒と料理のペアリングに関しては、一次試験での出題数はそれほど多くないのですが、今回のように論述で扱われることがあります。ですので、一次試験終了後もテキストを読み続けることが大切です。
2番目のテーマは普段から日本酒を取り巻く環境にどれだけ興味を抱いているかが問われます。ワインでも原産地呼称を敢えて名乗らない造り手が増えているように、日本酒でも同様の傾向があることを押さえれば解答はそれほど難しくなかったでしょう。
今年からソムリエ協会が模範解答を公開していますので必ず確認しましょう。
二次試験の勉強方法
テイスティング用語と表現方法に慣れる
二次試験の勉強を開始する際、まず意識してほしいことがテイスティング用語と表現方法です。SAKE DIPLOMA試験はワインの表現方法を基準にしているため、ワインに慣れていない受験者にとっては馴染めない用語や表現方法が数多く使われています。
例えば、教本に書かれている大吟醸の香りの表現は次の通りです。
華やかで芳醇な印象。1801号酵母からの黄色いりんごのコンポートやキャンディのような果実香にカリンやマスカットのような香りが加わり、金木犀の花の香りや杏仁、ビターアーモンドの香り、青竹や煎茶の葉のような爽やかさを与える香り、ほのかに石灰のようなミネラル香などが調和。
これを読んで、どのような日本酒なのかイメージできる人は少ないでしょう。そもそも金木犀や石灰の香りをイメージできない人もいるでしょう。しかし、テイスティング試験ではこのような普段使わない用語や知らない香りも選択肢に含まれています。
これら全ての香りを知る時間はありません。だから、特定名称ごとにどのような表現・用語が使われやすいのか感覚的に知っておく必要があります。また、試験本番までに上記のような表現に馴染んでおくことも大切です。
そこでおすすめなのが日本ソムリエ協会会長・田崎真也氏が著した書籍です。この本は公式教本の第4・5・6章の参考文献にもなっていますので読む価値はあります。二次試験間近になると売り切れるため、タイミングよく購入できる場合は躊躇せずに手に入れましょう。購入の際、紙版に関しては売り切れになることがありますが、kindle版は売り切れませんのでkindleで購入すれば入手しやすいです。
二次試験のポイントを知る
闇雲にテイスティングのトレーニングをしても非効率です。多忙な中、そして使える費用が限られた中でトレーニングをするわけですので、1回1回のトレーニングの質を高める必要があります。
そこで意識してもらいたいことが次のポイントです。二次試験は一次試験以上に出題意図が明確なので、それをしっかりと押さえるが大切です。また、これを知ることでテイスティングの方法やお酒の選び方がわかるはずです。
- 純米系と吟醸系の判別(最重要)
- 速醸系と生酛系の判別
- 純米酒と純米吟醸・純米大吟醸の判別
- 本醸造と吟醸・大吟醸の判別
- 山廃と生酛の判別
- 山田錦と五百万石の判別
- 焼酎の判別(泡盛含む)
テイスティング用の日本酒を用意する
日本酒は次のポイントを参考に選んでください。
- 火入れ酒を選ぶ(保管の関係上、生酒が出題される確率は低い)
- 酒米は山田錦、五百万石など生産量の多いものを選ぶ
- 季節商品、スポット商品ではなく定番酒を選ぶ
- 酒母は山廃と生酛の両方を用意する
- 飲食店で飲む機会があれば山廃熟成を知っておく
ちなみに田崎真也氏の著書で頻出する銘柄は次の6つです。
定番酒は楽天やAmazonでも入手しやすいので、近所に酒屋がない場合はネットで手に入れましょう。
その他、
- 街の酒屋よりも百貨店や量販店の方が定番酒が入手しやすい
- 百貨店は個人向け商品が多く、四合瓶や300ml商品が手に入りやすい
- 日本酒飲み放題の店でワイングラスを持ち込み比較試飲するのも◎
ワイングラスを用意する
試験本番はワイングラスで日本酒が提供されます。だから、勉強もワイングラスで行いましょう。居酒屋で使われる日本酒グラスや猪口では香りの判別が難しいためです。ワイングラスを手に入れたら、スワリング(グラスを回して日本酒を空気に触れさせることで香りを引き出す所作)にも慣れておきましょう。
おすすめは次の商品です。持ち運びたいのであれば大吟醸グラスがおすすめです。
頭の中で日本酒を分類する
テイスティングで重要なことは感覚的に捉えるのではなく、味や香りから得られた情報を頭の中で整理して日本酒を分類することです。ワインのソムリエが優れているのは、この分類を速く正確に行うことができるからです。この分類を行うためには頭の中に分類するためのツリーを入れておく必要があります。これは自分が分かりやすい形にまとめるのが一番良いのですが、ここでは私がテイスティング試験に臨んだときに使ったツリーをご紹介します。
これを見ればわかるように、テイスティング試験で一番重要なことは、純米系と吟醸系の違いを見極めることなのです。
テイスティングシートにチェックする
最近ではワインスクールや教材販売の他に、無料でテイスティングシートを配布している場合もあるので、早めにテイスティングシートを用意しておきましょう。重要なことは自分で選んだテイスティング用語が正しいのかどうかということ。こちらに関してはNANAME KIKAKUでも特定名称別の選択用語集を有料で提供しています。例えば山廃純米の場合、どのような用語を選べばよいのか分かるようになります。特に香りに関しては選択肢が多いため事前に必要な用語を知っておくことが大切です。
二次試験対策教材のご案内
二次試験対策として特定名称酒の判別は最低限求められますが、それ以外に大切なのは各特定名称の特徴を表すテイスティング用語の選択です。これを間違えると得点に繋がりません。本ツールは特定名称の判別ができるようになった受験者に対して、特定名称別の選択用語例を提供します。
◯価格:1,650円(税込)
◯本ツールは次の3点で構成しています。
・チェックシート
・タイプ別選択用語例
・タイプ別香りの選択用語
◯NANAME KIKAKUにて一次試験の教材を購入し、一次試験アンケートに回答した場合は無料にて提供します。教材購入者には個別にご案内します。
2020.10.06
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