八百新酒造は明治10年、岩国吉川藩にて「八百新」として創業しました。元々「新菊」という銘柄で販売していたのですが、三倍醸造法によって商品のイメージは悪化。その後はほぼ全量が「雁木(がんぎ)」という銘柄で販売されています。ちなみに雁木とは「川土手の石畳の階段状になった船着場」のこと。当蔵の創業者はこの雁木から水揚げされた原料米を使って日本酒造りを行っていたようです。
八百新酒造のウェブサイトには次のような文章が記載されています。
発酵中の醪に良い音楽を聞かせたら良い酒ができるという話がまことしやかに語られたり、実際にモーツアルトを聴かせている蔵があるそうですが、これには違和感を覚えます。逆ではないでしょうか?蔵人は、微生物に音楽を聴かせるのではなく微生物の奏でる音楽を聴く立場にあると思うからです。実際に聴こえているわけではありませんが、仕込み蔵の中にいると、タンクの中で複雑な糖化や発酵を繰り返している醪がガムランにも似たポリリズムの壮大な音宇宙を展開しているような臨場感が肌を通じて伝わってくるのです。
当蔵の造り手たちは子育てと同じような気持ちで日本酒に向き合う姿勢があることが分かりますね。